映画の中の演奏シーン
さてみなさん、突然ですが上記の一文を見てパッと思い浮かぶシーンはなんですか?
スクール・オブ・ロック、戦場のピアニスト、天使にラブソングを、ピッチパーフェクトetc
いやあ、例をあげたらキリがありませんね。それぞれ思い思いの名演奏シーンがあるかと思います。
しかし、おそらく僕と同じようにコレを挙げる方は少なくないでしょう。
そう映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」内のコレです。
何度観ても良い!
ちなみにですが、このとき手を怪我したバンドメンバーがいとこに電話するシーンがあるのを覚えていますか?
「新しい音を探してるんだよな!?聴いてみろよ!」
みたいな感じで、マーティの演奏を電話越しに聴かせるんですが、なにをかくそうこのチャックといういとここそ、のちに「ジョニー・B・グッド」という曲を生み出して大ヒットさせるミュージシャンなのです。そう、マーティが演奏しているこの曲のことです。
つまりチャックは、未来の自分の曲を聴かせられているわけですね。こうして見ず知らずの少年が演奏した曲に刺激され、「ジョニー・B・グッド」を生み出したということ↓
ひらたく言えば自分で自分の曲をパクったって感じですかね。一風変わった卵が先か鶏が先かみたいな話で混乱しちゃいますw
さてそんな小ネタはさておき、本題はここからです。
この映画を初めてみたのは高校生のときでした。当時から名作として知られていた本作の、この名シーンを観た思春期の少年は、当然ながら頭の芯からビリビリと痺れました。
レンタルDVDの返却期限ギリギリまで何度もリピートし←世代バレる?
返しにいった足で、CDコーナーに行きサントラを借り
↑これこれ、なつかし~
そして一生懸命バイトして買ったiPodにダウンロードしたんです←あ~完全にバレたよ
それだけなら、何も恥ずべきことはありません。問題はその後です。
iPodに曲を入れた僕は早速イヤホンを耳に突っ込んで、大音量で「ジョニー・B・グッド」を流しました。
五畳程度の自室の真ん中、大きな本棚とテレビ、勉強に使ったことは数えるほどしかない勉強机に囲まれていたのですが、感化されまくった少年の目には1950年代のプロムの光景が映っています。
話は飛びますが、当時エアギターがちょっと流行してたんですよ。日本人初のエアギター世界チャンピオンが生まれたっていうニュースがきっかけで。
さて、このときの午巳少年が何をしたか、もうおわかりですね?
部屋のど真ん中で、エアギターに興じたんです。ちなみに当時も今もギターなんて全く弾けません。
何度も観返したんで、動きだけは完璧にトレースできてました。
ギターウォークで部屋を横断し
↑こんな動き
積読やらペットポトルの山にぶつかり、盛大に崩れましたが気にも留めず
完全になりきっていたんです。
後にも先にも、あんなに自分の世界に没入したことはなかったかもしれまぜん。
そう…母親が見ていることにも気づかないほどに…
そして映画の中のマーティは、ギターを鳴らしながらターンする動きがあるんですよ。
完璧にトレースしていた僕は、当然ながらターンしました。そして開いたドアの前で、呆然と立ち尽くす母親とバシッと目が合ったのです。
はあ、はあ…きつい…今記憶を掘り起こしただけでも息ができない…
思春期の少年だった当時は心臓が止まりそうに…いや、いっそのこと止まって欲しいと願うほどの、恥ずかしさと気まずさが全身を覆いました。
そして無駄なプライドと、痛々しい自意識を持ち合わせていた僕は、やや尖った声で
「入るときはノックしてって言ったじゃん!」
と逆ギレ。うわあ、よけい恥ずかしい。
そもそも、たぶんですけどノックしたんですよ母は、イヤホンから大音量で流れるギターリフで聞こえなかっただけで。
そんな僕の恥ずかしさを察したのか母は、ついさっきまでの僕の奇行にはいっさい触れず
「はいはい、ごめんね。ご飯できたよ」
とだけ言って去っていきました。
本当にすいませんでした。母上。
バック・トゥ・ザ・フューチャーは大好きな映画なんですけど、同時に黒歴史の発祥地でもあるという、なんとも複雑な想い入れのある作品なんですよね。
ただここで主張しておきたいのは、時代問わず、国も問わず、あのマーティのギター演奏シーンを観た中高生のほぼ全員が、自室でエアギターに興じたはずだということ。
そうですよね?お願いだからそうだと言ってください!!