「むらさきのスカートの女」のあらすじと読みどころ:奇妙な日常に潜む人間の本質

「むらさきのスカートの女」のあらすじと読みどころ:奇妙な日常に潜む人間の本質 小説

どうも、広く浅いオタクの午巳あくたです!

今回は今村夏子さんの『むらさきのスカートの女』についてお話ししようと思います。

この小説にはちょっと不思議で、どこか不気味で、そして身につまされる何かがありました。

そんな本作の、あらすじや読みどころを解説。少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです!

【あらすじ】不思議な語り手と奇妙な日常


この物語は「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性を、語り手の「わたし」がひたすら観察していく、ただそれだけのストーリーなんです。

「むらさきのスカートの女」は常に紫のスカートを履いて街中によくあらわれ、誰ともかかわらず、ひたすら孤独な毎日を送っています。にもかかわらず、なぜか人々の視線を集める不思議な存在でもあるんです。

視線を集めるといってもよい意味ではなく、かといって危険視されているわけでもない、なんというか「奇異の視線」とでも言うべきでしょうか。いわゆる「変わり者」として見られているということなんですね。

皆さんの住む町、あるいは住んでいた町にも、そんなちょっとした有名人がいませんでしたか?

そんな彼女にとりわけ興味を抱いているのが、物語の語り手でもある「わたし」という存在。「わたし」の視点で日常をつぶさに観察される「むらさきのスカートの女」は実際に何をしているかというと、意外と普通なんですよね。ただつつましく生きているだけで、ただ孤独なだけなんです。

物語が進むにつれて「むらさきのスカートの女」はどんどんと普通に見えてきます。蓋をあけてみればただ不器用なだけの、ごく普通の成人女性だったわけです。

しかし、なぜか不穏な空気が濃くなっていくのが本作の面白いところ。その不気味さの正体は語り手の「わたし」という存在によるもの。

読み進めていくにつれ、次第に「むらさきのスカートの女」よりも「わたし」の方が気になってきてしまうのです。これは僕の見方の問題ではなく、そうならざるえないような構造になっているんですよね。

ある程度読み進めたら、思わず「怖あ…」って独り言が漏れるくらいの不気味さが、背筋をかけました。

でもそこがこの作品の面白さです。何気ない日常が、実はどこかズレている。そのズレが、読み進めるうちにどんどん大きくなっていく感じがたまらず、夢中でページを捲りました。

【登場人物】個性的なキャラクターたちの深層

1. むらさきのスカートの女(本名:日野まゆ子)

物語の中心人物であり、常に紫のスカートを履いていることから「むらさきのスカートの女」と呼ばれている。社交性が低く、控えめな性格だが、ゆえに染まりやすい一面もある。

2. 「わたし」(語り手)

物語の語り手であり、むらさきのスカートの女に強い興味を抱く女性。物語は彼女の友人になろうと「わたし」が画策することから始まる。作中においても、また読み手の印象としても存在感が薄い。

3. 日野まゆ子の同僚

「むらさきのスカートの女」こと日野まゆ子が働いているホテルの清掃員仲間。日野まゆ子に対して特に深い関わりを持っているわけではないものの、日野まゆ子が変わっていくきっかけにもなった人たち

4. 権藤チーフ

日野まゆ子の上司にあたる人物で、作中ではほとんど存在感がないが、重要な人物。

「むらさきのスカートの女」が芥川賞受賞に至った理由を徹底解説


この作品が芥川賞を受賞した理由には、やはりその独特な語り口と、「日常の中にある異常」をとてもうまく描いているところだと思います。

普通の町に住む普通の人たちの普通な日常に、ふと違和感を覚えさせ、不穏な何かを感じさせるのが抜群に上手です。

この「違和感や不穏」が読み進めていくうちに大きくなり、やがて物語の結末に繋がるのが本当に巧妙だなと思いました。

また本作では、「信頼できない語り手」という手法が使われています。これはミステリー系の作品に使われるものなのですが、純文学の世界に落とし込まれているのがとてもユニークな発想です。

「わたし」がどれだけ正確に語っているのか、読者としてはわからない部分が多く、常に疑いを持ちながら読み進めるのがとても新鮮で、「次どうなるんだろう?」というドキドキやスリルを体感させてくれる純文学作品は、非常に稀有だと言えるでしょう!

【感想】読者が感じる不安と引き込まれる魅力

『むらさきのスカートの女』を読み終えたら、「このモヤモヤはなんだろう?」という正体不明の不安感がこみ上げてきました。

語り手の「わたし」はいったいどういう存在なのか?彼女の狂気がこの物語をゆがめているのか?それとも「わたし」はそもそも…この辺にしときましょうか。

とにかくいろいろな意味で境界線がぼやけているんです。物語を読み進めるうちに徐々にはっきりとしていくのではなく、逆にどんどん曖昧になっていくんです。

この曖昧さがモヤモヤの正体である同時に魅力でもあるんだなと思いますね。

とにもかくにも、結末に至るまでずっと引き込まれ、最後まで目が離せない一冊でした。皆さんもぜひ、ちょっと不思議なこの世界に足を踏み入れてみてください!

まとめ

『むらさきのスカートの女』は、一見普通の生活の中に潜む異常性を描いた傑作です。語り手の視点が独特で、読者を混乱させつつも物語に引き込む力があります。

文体自体に癖はなく、語りも比較的ライトで芥川賞作品の中ではとても読みやすい部類だと思います。

あまり純文学に触れてこなかった人にもとてもお勧めできます!

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