ここでは僕の名刺代わりに、10冊の小説をご紹介。
面白い本、感動した本はたくさんありますが、その中でも「新たな扉を開いてくれた本」をクローズアップしました。
暇つぶしがてら、気軽にお読みいただければと思います。
ハリーポッター(J.K.ローリング)
僕の読書人生のスタート地点であり、最高地点でもあるのが、このハリーポッターシリーズ。
映画も大好きですが、原作と映画では楽しみ方がまるで違います。
なにせ原作はファンタジーの皮を被った、深い深い人間ドラマですからね。
2時間の映画では描ききれない、キャラクターたちの背景事情が、原作ではこれでもかというくらい深堀されているんです
ジャンル問わない雑食型の本読みである僕ですが、なんだかんだで好きになるのは人間模様が色濃い作品だったりします。
その根源的なところは、きっとこのハリーポッターから来てるんでしょうね。
白夜行(東野圭吾)
こちらはミステリー・サスペンスという扉を開いてくれた作品。
上下2段組みの500ページという、大ボリュームの一冊でしたが、あっという間に読めてしまった記憶があります。
何が良かったか?
それはヒロインである唐沢雪穂の「悪女」っぷりです。
美貌と手管で男を手玉にとり、自在に操り、決して表には出さない残忍性を持つ。
そんな女を心から恐ろしく思うと同時に、たまらなく魅力的に感じたのは、今でも鮮明に覚えていますね。
池袋ウエストゲートパーク(石田衣良)
思春期時代にこの本と出会えて良かったと心から思っています。
主人公の真島マコトに、人としてあるべき姿を教わったと言っても過言じゃありません。
学校の先生の言う真っ当さが受け入れられない時期。
世の中の汚い部分も、大人の情けない部分もさらけ出し、その上で「正しさ」を貫いていくマコトの姿は、とてつもなくカッコよく思えました。
もちろん今でも、僕にとっての最高のヒーローは真島マコトです。
図書館戦争(有川浩)
読んでますます本が好きになり、同時にラブコメの良さを知った作品ですね。
図書館と政府組織がガチの戦争をするというとんでも設定。
でもそれ自体の背景がしっかりとしていて、そのリアリティに驚きました。
その中で繰り広げられる、なんともベタ甘なラブコメは、やはりまだ思春期だった僕をひっそりとキュンキュンとさせてくれましたね。
恋だ愛だのくだらん…
という高二病を拗らせていた僕の目を覚ましてくれた。実にありがたい本です。
眠れぬ真珠(石田衣良)
大人の恋愛というジャンルを開拓してくれたのが、こちらの作品。
40代の版画家である女性と、20代後半の映画監督の卵である青年の物語。
とにかくヒロインである咲世子が、とてつもなく魅力的でした。
初めて読んだ当時は20代前半だった僕ですが
「こんな女性と恋愛してみたい」
と心から思い。同時に
「こんな人になりたい」
と思わせてもくれました。
自分の腕一本で成功し、穏やかで静かな人生を歩み、同時に恋に悩み、歳を重ねていくことに葛藤を抱え、それでも新たな自分になろうと努力し続ける。
そんな生き方をするヒロインに、色々な意味で強烈に憧れを覚えました。
ノルウェイの森(村上春樹)
純文学というジャンルを開拓してくれたのは、やはり村上春樹さんですね。
情緒的で美しい文体に触れ、それがとてつもなく魅力的で
「こんな世界があるのか…」
という衝撃を覚えました。
ストーリーの全容をちゃんと理解できたわけではありません。しかし”理解できないことを楽しむ”ということを教えてくれたのです。
凍りのくじら(辻村深月)
今や人気作家の一人である辻村深月さん。僕がこの本と出会ったときは、まだ注目され始めたくらいの頃でしょうか。
この本に出会い、”ジャンルにとらわれない物語”というのがあると知りました。
生々しくすらある心理描写に人間模様、そして紆余曲折を経てからの感動。
それだけで十分に良作だと思ってたのに、オチまでいったところで
「ええええ!?」
となったのを今でも覚えています。
奥深い人間ドラマに触れた感動と、巧妙なミステリーに騙された衝撃。
その両方が混じり合ったなんとも言えない読後感を、この本で初めて得ましたね。
ライ麦畑でつかまえて(J.D.サリンジャー)
アメリカの古典文学に初めて触れたのが本作。
きっかけは海外ドラマでしたね。
向こうでは
「シリアルキラーの愛読書」
とされているらしく、怖いもの見たさで手に取った次第です。
しかしいざ読んでみれば、実に情緒的で美しい文章でした。
ただ、主人公のホールデンの反社会的な思想や言動がその手の人に好まれているのかな?
とも思います。
どこか危険な香りのする主人公、そしてそんな人物に多少なりともシンパシーを抱いていた自分が、少し怖くなったのを覚えています。
コンビニ人間(村田沙耶香)
本好きを自称しながらも、実は文学賞にあまり興味を持たなかったんです。
しかしこの本がきっかけで、芥川賞・直木賞というのに注目し始めたところはあります。
とにかくまあ、”尖りに尖った才能”とはこういうものなのかと、実感した作品。
主人公は見たことも聞いたこともないタイプで、それでいて周囲にもいそうな感じがして、それがどうしようもなく魅力的。
オチに関しては、僕はハッピーエンドだと認識しましたが、人によってはバッドエンドだと認識していて、評価が真っ二つになっているのもまた衝撃を覚えました。
やはり俺の青春ラブコメは間違っている(渡航)
ライトノベルというジャンルを開拓してくれた作品。実はそこそこ大人になってから触れたんですよね。
長めのタイトル、はみ出しものの主人公、集う美少女たち。
いかにもラノベ的な要素にあふれ、それに抵抗を覚える方もいるかもしれません。
ですがあえて言いたいのが、本作”俺ガイル”は
「最もライトな純文学である」
です。
最初はラノベの王道を行っているなかに、ほんのりと純文学のエッセンスを感じる程度。
しかし巻数を進めるごとに、どんどん純文学的な割合が増えていき、文字を追う時間よりも意味を考える時間が増えてくるくらいでした。