どうも、広く浅いオタクの午巳あくたです。
今回は昔のコナン映画である「世紀末の魔術師」について語りたいと思います。
コナン映画の中では、(僕の中で)最高傑作の作品の魅力を徹底解説いたしますので、ぜひ最後までお付き合いください。
世紀末の魔術師とは?
「世紀末の魔術師」は1999年に公開された名探偵コナン劇場版シリーズ三作目の映画です。
興行収入は26億円で、コナン映画で初めて20億円を突破した作品。そして「怪盗キッド」を主役としたコナン映画の記念すべき第一作でもあります。
また服部平治、灰原哀が劇場版に初めて登場したシリーズでもあり、さらにコナン映画の定番である「阿笠博士のダジャレクイズ」が初めて出題されたのもこの映画なのです。
あらすじ
黄昏の獅子から暁の乙女へ
秒針のない時計が12番目の文字を刻む時、
光る点の楼閣からメモリーズ・エッグをいただきに参上する。
世紀末の魔術師 怪盗キッド
怪盗キッドから鈴木財閥にこのような予告場が届いた。
メモリーズ・エッグとはロマノフ王朝の遺産である「インペリアル・イースター・エッグ」のひとつ。
決戦の場は大阪。そして対怪盗キッドチームの一員として毛利小五郎が招集され、付き添いとしてコナンと蘭たちも大阪の地にやってきた。
さらに西の名探偵である服部平治も戦線に加わることになり、万全の体勢でキッドを迎え撃つことになる。
コナンは今までビッグジュエルを専門に狙っていた怪盗キッドが、どうして工芸品であるエッグを狙うのを訝しんでいた。
しかし、その謎は解けないまま夜を迎え
「レディース!エーンド!ジェントルメーン!」
予告状に記された場所で、高らかに叫ぶ怪盗キッドの宣誓により、戦いの火ぶたは切って落とされたのだった…
感想:コナン映画の最高傑作
僕はこの「世紀末の魔術師」をいう作品こそ、コナン映画の最高傑作だと思っています。
といってもまあ、興行収入にしても巷のランキングにしても上位にランクインするわけではないので、本当に個人的な評価なんですけどね。
しかし隠れた名作であることは間違いなく、この映画ならではの推しポイントもあるので、ぜひ語らせてください。
僕が特に推したいところは以下の二つです!
超重厚な本格ミステリー
昨今のコナン映画の定番と言えば、爆発とアクション。でかいビルがあれば冒頭で崩壊し、スポーツカーは道路を爆走し、ときに拳、ときにミサイルまで飛び交うスリリングで大規模なサスペンスとして展開されますよね。
それもそれで面白いですし、僕も毎年楽しみにしているのですが、いっぽうで「世紀末の魔術師」のみたいなガチのミステリーもまた観たいなあとも思うのです。
この映画はいまのコナン映画の定番が確立される前の時代で、かなりミステリー色が強かったんですよね。
そして本作で描かれるミステリーは極上。伏線をしっかり張り、絶妙なミスリードを誘い、そして回収の鮮やかさまで素晴らしいの一言。さらにロシアの歴史の要素が加わることで、より深みのある重厚な一品に仕上がっています。
いつもはおまけパート的なエンドクレジット後の一幕も、とてつもなく重要なシーンとして描かれているのも注目ポイント。
まさに冒頭からラスト一秒まで見逃せない極上ミステリーと言えるでしょう。
最高の怪盗キッドが観られる
コナン映画における怪盗キッドシリーズの第一作である「世紀末の魔術師」ですが、この映画の怪盗キッドが原点にして頂点。めちゃくちゃカッコいい怪盗キッドを堪能できます。
通天閣の上で高らかに叫ぶ怪盗キッドの姿は、子供のときに観たときに大興奮した覚えがあります。
さらにミステリー要素にも怪盗キッドが深く関わっており、序盤は不気味とさえ感じるほど立ち回りが独特。
コナンが疑問に感じたように、なぜビッグジュエル専門の泥棒だったはずの怪盗キッドが、エッグを狙うのか?
この謎が実は物語において、重要なファクターとなっているのです。
視聴の際はぜひ怪盗キッドの動向に注目してみてください!観終わった後は老若男女問わず「キッドの女」になっていること請け合いですw
ロマノフ王朝とラスプーチン:10倍楽しむための4つのポイント
「世紀末の魔術師」のストーリーにはロシアの歴史が深く関係してきます。そこで予備知識として押さえておくと、この映画が10倍楽しくなるポイントを解説いたします。
ロマノフ王朝
1613年から1917年まで続いたロシアの歴史上最後の王朝。ロマノフ家が王族として君臨していたためロマノフ王朝と呼ばれていて、日本で言うなら徳川幕府みたいなものですかね。
映画内に出てくる「インペリアル・イースター・エッグ」も実在していて、ロマノフ朝に収められた50個のイースターエッグがそれにあたります。※劇中のメモリーズ・エッグは51個目のエッグとされ、こちらは架空の代物です。
ニコライ二世
ロマノフ王朝最後の皇帝。日露戦争や第一次世界大戦など、教科書にも載るような戦争で指揮をとりますが、求心力が足らず、やむなく革命によって政権を奪取されてしまいました。
その後しばらくは家族と共に軟禁生活を送っていたようでしたが、やがて政治的ないざこざから立場が悪化し囚人となり、ついには妻と子供たちもろとも虐殺されることになったのです。
映画内のメモリーズ・エッグの内部にある金の模型は、ニコライ二世と彼の子供たちを模しています。
マリア
ロマノフ王朝の第三皇女。ニコライ二世の三女ということですね。特に父親に懐いていた娘と言われています。
彼女もまたニコライ二世と共に処刑されたはずですが、皇帝一家の遺体が埋められた場所にマリアのものと思しき遺骨が見当たらず、彼女だけは生き延びたのかもしれないという説もありました。
しかし2007年に遺体が発見され、その説は否定されています。
グリゴリー・ラスプーチン
ロシアにいた祈禱僧※であり、ニコライ二世の妻であるアレクサンドラ皇后に重用されていました。
血友病を患っていたアレクセイ皇太子を治癒したという逸話があり、それがきっかけで皇帝夫妻の友人として迎えられ、絶大な信頼を得ていくことになり、やがて相談役のような地位を確立します。
しかしやがてペテン師であるという噂がたち、さらに宮中のあらゆる女性と関係を持つなど、悪僧としての一面が際立つようになり、やがて追われる身となりました。
歴史的な人物評は悪いのですが、彼の逸話には不明慮な部分や謎が多く、実際にどういう人物だったかはっきりわかっていないようですね。
※シャーマンとも呼ばれ、原始宗教などを信仰する僧を指す
最後の謎を相関図から解説※ネタバレあり
※この章ではこの映画の重要なネタバレがあります。見視聴の方は飛ばしてください
視聴済みなので続きを読む
この映画の最後の謎である香坂夏美の出自について解説したいと思います。ちなみに、みなさんわかりましたか?僕は子供時代に観たときはチンプンカンプンでしたw
エッグの仕掛けによる皇帝一家の写真のなかに香坂夏美とそっくりな人物が映っていて、その人物こそ夏美の曾祖母、つまりはひいおばあちゃんなわけですね。
そこで状況整理のために、簡単な相関図をご用意いたしました↓
夏美の曾祖母はロマノフ王朝の皇女ということなのです。前章で述べたように、皇帝一族のなかでマリアだけは生きていたのではという説があり、その真偽は謎に包まれていました。※この映画は1999年公開のため、マリア生存説がまだ生きていました。
この映画では生き延びたマリアが喜一と結ばれ、ひそかに皇族の血脈を残していたという設定にしたわけですね。
つまりコナンは歴史上における大きな謎を解き明かしたということ。世間に公表されれば、ロシア国内を中心に世界規模のニュースになるくらいの大発見です。
ですがそれは夏美の人生を脅かす危険性もある真実ともいえるわけで、ゆえに怪盗キッドは「この世には謎のままにしておいた方がいい謎もある」と忠告し、コナンも同意したのでしょう。
まとめ:こんな人におすすめ
この映画はこんな人におすすめです。
・古き良き王道ミステリーが好き
・最近のコナン映画は知ってるけど、昔の奴はあまり観たことない
・怪盗キッドファン
昨今のコナン映画とはだいぶテイストが違うので、最近のやつしか知らない方からすればだいぶ新鮮に感じると思います。
そして何度も言いますが怪盗キッドが本当にカッコいいので、怪盗キッドが好きな方には特におすすめです!