こんにちは、広く浅いオタクの午巳あくたです。
今回はホアキン・フェニックス主演の映画「JOKER」について語りたいと思います。
個人的には令和になって観た映画のなかではぶっちぎりのナンバー1、生涯でもトップ10に入るほどの大傑作です!
そのストーリーと見どころをネタバレなしで解説しますので、ぜひ最後までお付き合いください!
はじめに:映画『JOKER』が話題になる理由
映画『JOKER』は、2019年に公開され、瞬く間に世界中で大きな話題となりました。
2019年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞。第92回アカデミー賞は11部門にノミネート、うち主演の主演ホアキン・フェニックスが主演男優賞、ヒドゥル・クドナドッティルが作曲賞を受賞したのです。
し・か・し、ただ単にたくさんの賞をもらったというだけでは、ここまでの話題性は呼びませんよね?JOKERがここまで世間を騒がせる理由は、他にもあるんです。
監督トッド・フィリップスと主演ホアキン・フェニックスが手掛けたこの作品は、バットマンの宿敵である「ジョーカー」を主人公に据えた映画、つまりはスピンオフ映画だったわけです。
なにせジョーカーというキャラクターは、映画史に残る大傑作とされる「ダークナイト」の悪役…いえ実質的に主人公みたいなものでしたからね。
あの大人気キャラが名実ともに主人公としてスクリーンに帰ってくると思えば、そりゃ同シリーズのファンからの期待も高まるわけです。
しかしふたを開けてみたら、「思ってたのと全然違う!?」となったのがこの映画「JOKER」なのです。
この映画は単なるヒーロー映画や悪役映画ではありません。むしろヒーロー映画要素はほとんど無く、社会的な問題や人間の心理を深く掘り下げたドラマでした。
そしてこの映画の主人公のジョーカーの姿は、あのダークナイトで描かれていたジョーカーとまるで別物だったのです。
ゆえに賛否の嵐が巻き起こり、ひいては大きな話題を呼ぶこととなったのでした。
また作品の内容についても、文学的な表現があったり、見るものの不安を煽るサイコスリラー的な要素があったりと、好きな人は好きだけど…といったような造り方をしているため、そこでも好みが分かれたようです。
僕個人としては「大傑作」と称してもよいくらいの作品なのですが、気軽におすすめできないのは確かですし、嫌いという人の気持ちもわかります。
あらすじ紹介:初心者向けにネタバレなしで解説
ゴッサムシティでピエロのアルバイトをしながら生計を立てる孤独な男、アーサー・フレック。母親と二人で暮らしており、心の病を抱えて精神科通い、その影響でなにもなくても発作的に笑ってしまうという症状で日々苦労していた。
そんなアーサーにはスタンドアップコメディアンになるという夢がる。だが彼の特異な笑い声と不器用な性格が災いし、周囲の人々に受け入れられることはなかった。
それどころか周囲の人間は彼に冷たく、無関心で誰も彼のことを尊重していないのが現状だった。
そんな現実に心を蝕まれていったアーサーは、徐々にその精神を変容させ…
といった感じのストーリーです。
つまり単純な善悪の対立を描くのではなく、アーサーという一人の男性、それも典型的な弱者男性が、自分を冷遇する社会の中で悪へと転落していくその過程を描いていく映画なのです。
ジョーカーというキャラクター:アーサー・フレックの人物像と行動を解説
アーサー・フレックは、この映画の核となるキャラクターです。彼は幼少期から精神的な問題を抱え、ゴッサムシティという冷酷な都市で苦しい生活を送っています。
アーサーは発作的に笑いが出てしまう特殊な病を抱えていて、それが彼を生きにくくさせている一つの要因になっています。
その笑い声はむしろ苦しみや悲しみの象徴であり、声を上げて大笑いしているにも関わらず、苦悶に満ちているのが印象的でした。
彼はそんな中でも母親の面倒を見ながら、日々真面目に働き、誰にも迷惑をかけず生きています。むしろ純粋で心優しい青年に見えるでしょう。
ではなぜアーサーはJOKERへと変容していくのか?
それは周囲の人間が彼を無視するからです。露骨ないじめとかではなく、ただ「冷たく」そして「笑いもの」にしているからです。
そんな環境下でアーサーは暴力的な衝動を持つようになっていました。そして立て続けに「きっかけ」がやってくるのです。ひとつひとつのきっかけが、少しずつ彼の「枷」を外していき、秘めた暴力性が解き放たれ、ジョーカーへと変貌してくさまは、背筋が寒くなるほどリアルで説得力に満ちていました。
『JOKER』を観るべき理由:初心者が楽しめる4つのポイント
JOKERを楽しむには以下のポイントに注目してみてください
社会問題を鋭く描く
さっきも言ったように、アーサーはかなり典型的な弱者男性です。そういう人間が究極的に追い詰められたら…というストーリーラインは、現代の日本でも通ずるものがありますね。
アーサーは貧困や社会的な孤立などを体現した象徴的なキャラクターなのかもしれません。
また個人的には「笑い」と「差別」の密接した関係性も言及しているように思えました。
ホアキン・フェニックスの圧倒的な演技
ジョーカーを演じた俳優でもっとも有名で評価も高いのがヒース・レジャーですが、本作のホアキンのジョーカーも負けず劣らずの怪演っぷりです。
一人の男が徐々にタガが外れ、精神世界が崩壊していくさまを見事に演じていましたね。
聞くところによるとこの役を演じるために23kgも減量したそうですよ。
映像美と音楽の融合
なにせ作曲賞まで受賞したわけですから、そりゃすごいですよ。
映像表現が非常に独特で、色彩豊かなのに少しも華やかにみえず、むしろ陰鬱で不気味で不安感を煽るような感じでした。←あんまり褒めてるように聞こえないでしょうが絶賛しています
それに合った音楽を作ろうなんて相当難しかったでしょうが、見事に調和していましたね。
特にアーサーがピエロ姿で踊りながら階段を降りるシーンは最高でした。いや最高なんて言葉じゃ語りきれないくらい、いろいろな感情が咲き乱れましたね。
共感と反感を同時に引き起こすストーリーテリング
この映画って公開当初はR15だったんですよね。
といってもセクシャルな表現があるわけでもなく、暴力表現もR指定になるほど激しいとは思えませんでした。
おそらくですがストーリーがあまりに共感を呼びやすく、かつアーサーという主人公があまりに影響を与えやすいキャラ造形であることも要因の一つなんじゃないかと思っています。
もしも彼に共感しすぎてしまったら…と思うと怖いですね。
とにかくJOKERのストーリー、ひいてはアーサーという主人公の生き方は、間違っても肯定はできず多くの人は反感を持つことでしょう。
しかし同時に「でもわからないでもない…わかりたくないけど、正直わかる」みたいな絶妙な共感を煽ってくるんですよねえ…
まとめ:『JOKER』を観る前に知っておきたいこと
映画『JOKER』は、単なるエンターテインメント映画ではなく、社会問題や人間の深層心理を描いた重厚な作品です。
初めて観る人にとっては、暴力的な描写や暗いテーマに戸惑うかもしれませんが、事前に物語やキャラクターの背景を理解することで、より深く楽しむことができるでしょう。