「V・フォー・ヴェンデッタ」未視聴者向け徹底解説!あらすじから仮面の意味まで知っておきたいポイント5選

「V・フォー・ヴェンデッタ」未視聴者向け徹底解説!あらすじから仮面の意味まで知っておきたいポイント5選 映画

どうも、広く浅いオタクの午巳あくたです!

今回は知る人ぞ知る名作ヒーロー映画「V・フォー・ヴェンデッタ」について語りたいと思います。

実は僕の中では数あるヒーロー映画のなかでもダントツ1位の作品なんです!

そんな本作をまだ観ていないという人のための記事を書きましたので、ぜひ最後までお付き合いください!

1.V・フォー・ヴェンデッタのあらすじ

映画「V・フォー・ヴェンデッタ」は、2005年に公開されたディストピアを舞台としたSF映画です。

ジョージ・オーウェルの「1984」のような暗い未来社会を描き、独裁的な政権が支配するイギリスが舞台となっています。

作品はアラン・ムーアのグラフィックノベルが原作で、あのマトリックスの監督として有名なウォシャウスキー姉弟(当時、現在はウォシャウスキー姉妹)がプロデュースしたことでも話題を集めました。

アダム・サトラーの下、全体主義的な圧制のもとに統治されたイギリス。そんな国の一市民であるイヴィーは、夜間外出命令が出ているのにも関わらず、やんごとなき事情で深夜に外に出てしまう。

だがイヴィーは道中で秘密警察に捕まってしまう。権力を笠にきて彼女を暴行しようとする秘密警官たちだったが、そこに仮面をかぶった男が割って入り、彼らを一瞬で殺してしまう。

謎の男はイヴィーに「V」と名乗り、彼女に革命の灯がともる瞬間を見せるのだった…

…といった感じで物語は、主人公「V」が政府に対して革命を起こそうとするストーリーです。Vはカリスマ的な反乱者で、独裁政権に苦しむ市民を解放するために戦います。

彼は常にガイ・フォークスの仮面をかぶり、その素顔は誰にも知られていません。彼が狙うのは、政府の中心にある「ノースファイアー政権」を倒すことです。

以下で主要キャストをご紹介!

V(演:ヒューゴ・ウィーヴィング)

革命の象徴的存在。常に仮面をかぶっているため、その素顔はだれも知らない。

超人的な身体能力を持ち、投げナイフを主に使用して戦う。口調はいたって紳士的で、やや芝居がかかった振る舞いとセリフが特徴。

イヴィー・ハモンド(演:ナタリー・ポートマン)

ごく普通に暮らす市民。Vと出会い、命を助けられたが、それがきっかけで彼の革命活動に巻き込まれてしまう。

アダム・サトラー(演:ジョン・ハート)

独裁政権のリーダー。名前もそうだが、その風貌も明らかにナチスドイツ政権の相当である「アドルフ・ヒトラー」をモデルにしている。

フィンチ警部(演:スティーブン・レイ)

政府の捜査官で、Vを追うが、次第に政権の在り方に疑問を持つようになる。

2.仮面の意味と元ネタ:ガイ・フォークスとの関係とは?

「V・フォー・ヴェンデッタ」で最も有名なアイコンの一つが、Vが常にかぶっているガイ・フォークスの仮面です。

実はこの仮面には、深い意味と歴史が込められているのです。

ガイ・フォークスとは?

ガイ・フォークスは、1605年にイギリスで発生した「火薬陰謀事件」に関与した歴史上の人物です。

この事件では、フォークスを含む一団がイギリス議会を爆破し、当時の政府を転覆させようとしました。彼らは捕まり、フォークスは反逆罪で処刑されましたが、彼の名はその後も反権力の象徴として知られるようになりました。

この事件は毎年「ガイ・フォークス・デイ」として、イギリスで11月5日に花火とともに祝われています。そしてガイ・フォークスの顔を様式化したのがこの仮面であり、祭典の一部になっているのです。

ちなみにこの祭典では「Remember, remember, the Fifth of November」という詩が有名ですが、Vも映画内でこれを口にしています。

他にも明らかにガイ・フォークスをオマージュしているであろう点が見受けられ、視聴前に軽く彼に関する情報を仕入れてみると面白いかもしれませんね。

なぜVはガイ・フォークスの仮面をかぶるのか?

ガイ・フォークスがなぜ「火薬陰謀事件」を起こすに至ったかというと、彼がカトリック教徒だったからです。

当時のイギリス国王であるジェームズ一世がカトリックを弾圧するような政治をしており、それに憤ったガイと他のカトリック教徒たちが立ち上がり、王を暗殺するために企てたのが「火薬陰謀事件」ということ。

つまりカトリック教徒たちによる革命活動だったわけですね。しかし、史実においては彼らの企みは失敗に終わり、ガイは拷問の末に処刑されてしまいます。

そしてその日がのちに「ガイ・フォークス・デイ」という祭典となり、やがて反カトリックイベントとして発展していく形となるのです。

このようにしてガイ・フォークスは敗者であり、歴史の悪役として扱われていったわけですね。

ではなぜVがそんな人物の仮面を被っているか?

それは「ガイ・フォークスのやろうとしたことを私が成功させてやる」というメッセージだと考察できます。

3.V・フォー・ヴェンデッタが伝える政治的メッセージとは?

この映画はエンターテインメントとしての要素だけでなく、非常に強力な政治的メッセージを含んでいます。

革命の定義

Vは革命家を称してはいるものの、やっていることはテロ行為に近いものがあります。

そもそも「テロ」と「革命」の違いは何か?はっきりとした定義があるわけではなく、個人の価値観によって変わってくる部分です。

成功すれば革命で、失敗すればテロであると言う人もいますし、それもまた一つの心理だと思います。

しかしこの映画ではそれとは違った答えを提示しているように思えます。

最初こそVの行動はテロ行為にしか見えないのですが、結末まで観たとき「これが革命なんだ…」と背筋がゾクゾクするほど痛烈に実感しました。

僕がこの映画を観て得た解釈は、テロは政権を奪取するための破壊行為であり、革命は民衆の意識の改革であるということ。

しかし「革命のための破壊」が肯定されべきか否かは、また判断が難しい部分ではあると思います。

全体主義への批判と現代風刺

映画の舞台は近未来のイギリスですが、そのモデルは明らかにナチスドイツをはじめとする独裁政権下における全体主義国家です。

国家へのテロ行為に走るVが、正義側であると思えるのは、国の在り方を明確に悪として描いているからです。

そして政府が市民の情報をコントロールし、恐怖を用いて支配する世界は、現代社会ともリンクします。いまでも独裁国家は存在し、苦しむ民衆は少なくありません。

この映画は監視社会や国家権力の濫用に対する懸念が反映されており、視聴者にとって考えさせられる内容となっているんですよね。

暴力の正当化についての議論

「V・フォー・ヴェンデッタ」では、革命とテロを明確に区別し、革命の在り方を示しています。

しかし先ほども少し触れましたが

「革命のための破壊」はどうなのか?崇高な理念を掲げ、目的さえ正しければ暴力も肯定されるべきか?

という部分については議論がありそうなところです。

Vは理念に基づいて行動していて、その目的も崇高なものです。しかしやっていることは明確な破壊行為であり、国家への反逆なのです。

もしも、現代日本でVのような存在が現れたとしたら、自分は彼をどう受け止めるのだろう?

視聴後にそんなところをじっくり考えてみたり、友人と議論したりするのも面白いかもしれません。

4.V・フォー・ヴェンデッタとアノニマス

V・フォー・ヴェンデッタで一躍有名になったガイ・フォークスの仮面ですが、実はつい最近また注目されることになったのです。

それは国際的なハッカー集団である「アノマニス」です。

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まってから間もなく、アノマニスがロシアの国営放送をジャックし「最も平和的に紛争を終わらせる方法は、ロシアの人々がプーチンを権力の座から引きずり下ろすこと」「私たちはあなた方を支援する」というメッセージを発信したというニュースが、日本でも大きく報じられました。

そのときの映像がこちら↓

観ての通り、この人もガイ・フォークスの仮面をつけています。

もちろん彼らが意識しているのは、Vではなくガイ・フォークスという歴史上の人物だとは思います。

しかし同時に、この映像はV・フォー・ヴェンデッタのワンシーンとそっくりでもあるのです。見た目だけでなく、スピーチの内容も共通しています。

さらにアノマニスが発足したのが2006年と、映画公開直後であったところも踏まえると、V・フォー・ヴェンデッタに影響を受けた可能性も否めませんね。

視聴の際は、この動画とそっくりなシーンはどこか探してみてください。たぶんすぐにわかりますよ。

5.映画の評価

「V・フォー・ヴェンデッタ」は、その深いテーマと独特のビジュアルで多くのファンを魅了してきました。

世界中の批評家や観客からも高い評価を受けており、公開から年月が経った今でも根強い支持を受けています。

出典:Rotten Tomatoes

世界的に有名な映画批評サイト「Rotten Tomatoes」ではこのような感じです。

御覧のとおり観客のスコア(ポップコーン)が90%と非常に高評価です。

評論家のスコア(トマト)は70%以上とまあまあ高い水準ではありますが、わりかし賛否両論ありそうなところですね。

まとめ:こんな人におすすめ

・賛否両論分かれるような話が好き

・風刺のきいたメッセージ性にグッとくる

・昨今のヒーロー映画に飽き飽きしている

「V・フォー・ヴェンデッタ」はヒーロー映画ではありますが、雰囲気といいテーマといい他のヒーローものとは明確に違う異色作です。

ずいぶん昔の映画ではありますが、今観たらむしろ斬新に思えるかもしれません。

頭からっぽで見れるとは言えない少々難解なお話ではありますが、ハマれば何度も観返したくなるような作品です!

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